4/30/2012

“YES”というバンドの考察



極々稀に、だが…

「YES(イエス)って知ってる?」

いや滅多にこんな会話にはならんけど…。
ホント、たま~に、ね。

すると面白い事に色んな答えが返ってくる。


「知らん」・・・・40%


「何か長い曲やるバンド」・・・・25%


「ロンリーハートのやつ」・・・・15%


「危機とかこわれもの」・・・・15%


「クリスス・クワイヤー主体のバンド」・・・・5%




まあ自分の周囲、老いも若きもプログレッシヴ・ロックに全く関わりのない奴が殆どなので、多くは「知らない」、せめて「曲が長い」という率が多くなるのは当然だろうね。

…しかしどうだろう。

いきなり「ロンリーハート」と答える連中にとって「長い曲ばかりやるバンド」という印象は薄い…もしくは皆無だろう。
“ちょっと変わっててポップでカッコイイ曲をヒットさせたバンド”…と、なるのかもしれない。
そうなると“イエス=プログレバンド”なんてレッテルも何もないのだろう。

その状況って、けっこう貴重な気がするんだよね。


例えば キング・クリムゾン 




同様に近い感じで“レッド”で一旦休止、“ディシプリン”で復活した。
でも


「クリムゾンって知ってる?」 

…と聞いてみたとして、いきなり


「あー、エレファントトークやってた奴らね」 

…と、返って来る率は非常に少ないと思うわけ。


「知らん」・・・・60%


「何か長い曲やるプログレのバンド」・・・・30%


「ロバートフリップ」・・・・10%


…ってところかなぁ?

何せ、そんなにカラフルな反応は望めない思われるのよ。
プログレなだけに…。
他のプログレバンドにしても、クリムゾンとほぼ同様だと思う。

ようはマニアックな“知る人ぞ知る”音楽なのね。


…さて、じゃあ、どうしてイエスは他と違うのか?


ちょっと考えてみた。


イエスというバンドはクリス・スクワイヤーが主人公のバンドだ。


どうしてそう思うのか?…というと、メンバーチェンジが激しい中、スクワイヤーだけが居座っているからだ。

更にはこんな話も何かで聞いたことがある。
キース・エマーソンカール・パーマーとバンド結成に向けて動いている頃、トリッキーなベースを弾き、歌も上手いクリス・スクワイヤーを誘ったが「他にやりたいバンドがある」とキッパリ断りイエスの母体(メイベル・グリアーズ・トイショップ)を結成し経緯がある。

まさにスクワイヤーはイエスの結成を、最初からライフワークと構想していた感がある。
(明らかに考え過ぎなのは自覚済…笑)

ともあれ、イエスというバンドがスタート
しっかりデビューも果たした。
この時のメンバーがこれだ。

左から…
ピーター・バンクス(g)、ビル・ブラフォード(d)、ジョン・アンダーソン(v)、スクワイヤー、トニー・ケイ(k)




ここでロック+クラシックというサウンド構築を図ったものの…
当時はサイケデリック系バンドがウヨウヨいて特に目立ってなかったと思われる。

アンダーソンの声質はスクワイヤーのコーラスに良く馴染む。
ブラフォードのドラムはテクニック的に申し分ない。
まずもって問題は…バンクスギターワンパターンな事?

そこでどんな経緯があったのか、どんな討論があったのか分からんけど、とにかくバンクスには頑とした自分のギタースタイルがあったのだろう。
意見の食い違いからバンドを脱退。

そこにカラフルなギターテクを兼ね備え、ギター弾いてりゃ楽しそうなスティーヴ・ハウが参加。



イエス・サウンドの原点となる記念すべき3rdアルバム“The Yes Album”を発表。
このアルバム・タイトルからしても「これがイエスだ!」という意気込みが感じられる。
何せ色んなギタースタイルを出せるだけにハウウハウハ♪
スクワイヤーの思うツボと化したのである。

(明らかに考え過ぎなのは自覚済PART2…笑)


ギターサウンドが満足いくようになったものの…次はキーボード
オルガンプレイに拘ったケイのスタイルに些か不満が…。


そこでどんな経緯があったのか、どんな討論があったのか分からんけど、とにかくケイには頑とした自分のキーボードスタイルがあったのだろう。
意見の食い違いからバンドを脱退。

そこに鍵盤のスーパーマーケットリック・ウェイクマン登場!


やった!すげぇぞ!
自分達だけでこんなにカラフルなサウンドを実現出来るなんて最高だぜ!
(…とスクワイヤーが言ったとか言わなかったとか…いや、たぶん言ってない…笑)


てな具合で、今となっては錚々たるラインナップになるわけだ。

色んなことが可能になっただけに、バンド内の要求も緻密になる。
この時のスクワイヤーを誰も止められなかったに違いない。
(そーなの?マジで?)


そして伝説の二枚が発表された。



ついにイエスというバンドが世界的に成功したのである。



※ここでイエス独特のポイント※
時はプログレッシヴロック全盛期…この二枚は爆発的に売れた。
しかし、あくまでもイエスのサウンド確立は3rdアルバム。
イエスはライヴにおいて“Starship Trooper”“I've Seen All Good People”をハイライトにセットする姿勢を変えなかった。
故に3rdアルバムのナンバーは忘れ去られることは無かった


バンドの曲構築が緻密になればなるほど、ストレスが溜まっているメンバーがいた。
その人こそビル・フラフォードだ。
彼はスクワイヤーの言い成りになっているほどフニャチンではなかったのだ!

…そんな時、ブラフォードクリムゾンから誘われる

待ってました!
即座にOK!


何たってクリムゾンは当時イエスより格上だったし、何よりフリーなアドリヴプレイの領域が広かったのだ。
突然の脱退に激怒するスクワイヤーに、ブラフォードは平然と言ったとか。

「クリムゾンに誘われたんだぜ?断る理由がないだろ?」


あいたー。

こうなりゃ奥の手だ!
歌ってりゃ楽しいボーカリスト弾いてりゃ楽しいギタリストの次は…
叩いてりゃ楽しいドラマーだっ!!


はい。
アラン・ホワイトさんの御出座し。


元来セッションドラマーなら何だってやるだろ。
(…とスクワイヤーが言ったとか言わなかったとか…いや、たぶん言ってないPART2…笑)


されど流石ホワイトはセッションドラマーだけあって複雑なイエスのナンバーを難無くこなした。
“職人ドラマー=叩くのが生き甲斐”ドラム叩いて食っていければ文句はあるまい。



※ここでまたまたイエス独特のポイント※
あくまでもホワイトは、ライヴでどの曲を演奏することになっても対応できるよう、イエスの全楽曲を習得した。
実際、馬鹿売れした二枚からのナンバーばかりじゃなく1stや2ndの楽曲もライヴに加えられた。
故にイエスのライヴに行ったオーディエンスはイエスの全歴史を体験できた。


何せイエスは既に生活に困るようなバンドではない。
アルバムが爆発的に売れ、デカいツアーをやり、ライヴアルバムも発表し、レコーディングスタジオも思いのまま使用出来る身分になったのじゃ。

しか~し…そこにきてまた…

フニャチンじゃない男が正体を現した。

ブロンドの大男、ウェイクマンだ。

彼はメンバー中唯一肉を食らい、酒を飲み、荒れた
いわゆるフツーロックスターだった。

クソ真面目で偏屈なスクワイヤー(言い過ぎ…?)と完全に対立。
「クソおもしろくねぇ~!」…ということでウェイクマン脱退

今度はジャズラテンフュージョンと、リズム感抜群な男パトリック・モラツが参加。


モラツが参加してレコーディングされた“リレイヤー”は確かに今迄とは違っていた
際立ったキーボードプレイより全体のグルーヴ感、一体感を感じさせる仕上がりだ。

…しかし、楽しい演奏で済ますわけにはいかないスクワイヤー
そんな体制にもすぐ飽きて(本当かよっ)テクニシャンウェイクマンを呼び戻す


金に物言わせて(だから言い過ぎだって…)メンバーが出たり入ったり
とりあえずジャケットデザインを幻想的なロジャー・ディーンからシュールなヒプノシスに替え“究極”“トーマト”の二枚のアルバムを発表。
一応心機一転を計ったのか…?



…で、ここでイエス低迷期の兆しが…。


「お前の曲使ってやるから俺の曲も使え」


こんな下らない子供のような会話があった…とコメントしたのはウェイクマン
どうにも行き先が定まらないバンド内は泥沼状態だったようで…。
ついにウェイクマンと共に初期からオリジナルメンバーだったアンダーソンも脱退

イエスは突拍子も無い方向に進み、“ラジオスターの悲劇”の2人組と吸収合併。


プログレとテクノが合わさったような摩訶不思議な音を出すバンドに変身。
(…まあ、これがまた悪くもない感じなんだけどね)




※ここでまたもやイエス独特のポイント※
ここまで変貌しながら、あえて大作志向を前面に出すスタイルを強調したりと、プログレッシヴロックバンドのスタイルを維持しようとする傾向があった。
名作と言われる“危機”のような作品を生んだバンドであるという存在感のアピールか…?


この辺で本当にイエスが過去のバンドになりつつあった。

スクワイヤーとホワイトがジミー・ペイジと“XYZ”などという御遊び的なセッションを始めたり、ハウが“エイジア”なるバンドに参加しヒットを飛ばしたり、アンダーソンがヴァンゲリスと仕事を始めたり、とイエスがガラガラと崩れる音が聞こえてくるような気がした。


…と、そこにきてスクワイヤー
天然なのか作戦なのか、ホワイトと共に大きな返り咲きを果たした。

何とボーカリストだったトレヴァー・ホーンプロデューサーとし、アンダーソンケイを呼び戻し、新たにトレヴァー・ラビンをギターに向かえた。


そして発表した“Owner Of A Lonely Heart”各国で大ヒット
ポップス路線としての大ヒットにより、イエスは新たなフアンも獲得したようだ。

…さて、ここからまた更に二転三転するイエスの人々。

またアンダーソン抜けた…


ラビンメインボーカルになった


アンダーソンハウウェイクマンブラフォードと“ABWH”を…


“イエス”も“ABWH”も過去のイエスの曲を演奏…




あー、ややこしい!!


こーなりゃ全部合併だ!!





ここまでやりゃ大したもんだ…(笑)


その後、小さく揉めたり何だかんだあったかもしれないが、イエスの楽曲はイエス・ファミリーの愛する共有物となってる模様。
昨今の映像を観るとスクワイヤーですらイエスの楽曲を心から楽しんでいるように見える
以前のスクワイヤーであればジャムセッションのようなラフな演奏は拒絶しただろうに、今の彼からはそんな気難しさは消え失せている。


長い年月、クリス・スクワイヤーという男のワガママに色んな人が動き、絡み、争い、悩み…
そんな音楽家達の波乱万丈から現在のイエスの存在が構築されたような気がする。
だからイエスが生まれて何十年経った今も、過去のプログレバンドではなくカラフルな印象を持たれながら生き続けているバンドなのだ。


今更ながら、

イエスこそ愛しいバンドだ

…と、自分は思う。

10 件のコメント:

  1. 素晴らしい!
    長〜い歴史と数多いエピソードを持つビッグバンドの事が、
    実に簡略かつ的確に紹介されて・・・
    アルバムをいくつも聴きたくなりますね・・・

    これシリーズ化希望!
    勿論次回はベイエリアのスタジオマン集団か?・・・
    イエス!タカス!

    返信削除
  2. >hana
    イエスは数あるバンドの中でも不思議ちゃんだからね~(笑)
    あ~、例のスタジオマン集団か…事実を書くとイメージがひっくり返るかもね!

    返信削除
  3. いやー、非常に楽しく読まさせていただきました!
    思わず笑い出してしまいそうな場所が数々。
    ホント、クリスのバンドだよなーと思います。
    個人的にはどの時代もすきなのですが、Yes Album から Cloth to the Edge が好みです。最新のアルバム( Fly From Here)も悪くは無いのですが...

    返信削除
  4. >Yutaka Mさん
    クリスフアンの、特にベーシストであれば全ての時代を愛聴している事と思います。
    特筆がYes Album から Cloth to the Edge
    …という事は、ビル先生とのリズム隊が好みなのでしょうか。
    もしそのリズム隊が今も不動だったとしたら…という流れを想像するのも楽しいですねっ♪

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  5. そうです!ビル先生のドラムは好きなんですよ。シモンズの六角ドラムを叩いても、好きでしたね。
    なのでクリムゾンは Red あたりが好みとなっております。

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  6. >Yutaka Mさん
    >クリムゾンは Red あたりが好み
    うははっ。
    やはりそうなりますか!
    クリムゾンの頃はウェットン先生もカッコ良かったですよね~。
    あのヘンテコなベースラインを弾きながら、よく歌えるもんだなぁ~と。
    ビル先生と組んだベーシストって…クリス・スクワイヤー、ジョン・ウェットン、ジェフ・バーリン、トニー・レヴィン…
    すげぇ人ばっか!(笑)

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