5/07/2011

見舞い

この度の連休に友人の見舞いに行ってきた。



その友人は心不全で倒れ、それ以来記憶を失った。

あらゆる知識を失い、奥さんの介護無くしては生きられなくなった。

倒れた場所が遠方の都市で、彼は妻子とそこに留まった。

心臓に爆弾を抱えてるので田舎暮らしは危険だと判断したのだ。



そこは連休の時くらいじゃなきゃ行けないほどの遠方だ。

記憶が戻る可能性は無に等しかった。

だが俺は可能性を追い求めて何年も通った。

彼の妻も、それに賛成してくれた。

その結果“覚え直す”という形で、また友人同士になれた。






…だが去年、また彼は倒れた。

「二度目は駄目だ」と言われていたのだが、奇跡的に命が繋がった。

病院で面会できると聞き、今年、また出向いたわけだ。



彼はベッドに寝ていた。

身体中に管が通され、あらゆる機械と繋がっていた。

しっかりと目は開いていた。

でも、何も見えないらしい。

手足が曲がったまま、指先は硬直し、常に小刻みに動いていた。

でも、何の意識もないらしい。



手を握り、名を呼んだ。

その途端、彼の顔色が変わり、動きが大きくなった。

「あれ?来てくれてるの分かるのかなぁ?」

彼の妻が呟いた。

でも、基本的には何も反応はなかった。

虚ろな目でゴーゴーと管に響く咳をするだけだった。



何と声を掛けて良いか分からなかった。

名を呼ぶしかなかった。

見ていて辛いだけだった。



でも、今も彼は友人だ。

何たって二度も友人になった奴なんだから。

2 件のコメント:

  1. うんうん。
    心は通じているはず。
    笑顔で握手!

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  2. >hana
    ひとまず、その場ではオチャラケてきたけどね…。
    まあ、気の持ちようだな。
    あとはそれしかないっしょ!

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